2019年のキングオブコントでどぶろっくが見せたパフォーマンスは、演芸関係者の間で今なお語り草となっています。オペラ座の怪人や本格的なブロードウェイミュージカルを彷彿とさせる荘厳な旋律に乗せて歌われたのは、「大きなイチモツをください」という、あまりにも身も蓋もないワンフレーズでした。
審査員たちを爆笑させ、最終的に歴代屈指の高得点で頂点をもぎ取った要因は、下ネタの過激さそのものではありません。極限まで磨き上げられた歌唱力、一分の狂いもない間(ま)、そして森が演じた「神様」の威厳に満ちた佇まいでした。森が一切ふざけず、崇高な表情で重厚なコーラスを重ねれば重ねるほど、江口の願いの卑小さが際立ち、爆発的な笑いを生むという構造計算です。
下ネタを最も高潔なフレームで包み込むという逆転の発想。それは、厳格な家庭で育ち、本来はお笑いや下品なノリに縁のなかった森慎太郎という異質な視点がコントの中に組み込まれていたからこそ到達できた境地でした。