3.11以前の日本芸能界において、タレントが公の場で寄付を呼びかけたり社会課題に直接介入したりする行為は、「売名行為」や「スタンドプレー」と批判される風潮が根強く残っていました。しかし、東日本大震災の壊滅的な衝撃は、その構造的タブーを根底から解体しました。
震災発生直後、日本赤十字社や被災県には芸能界から異例の規模の義援金が集まりました。孫正義氏の個人寄付100億円を筆頭に、多くのタレント、ミュージシャン、スポーツ選手が数千万円から数億円の義援金を投じました。さらに金銭のみならず、資材不足の被災地へ自ら物資を運び込んだ江頭2:50の行動は、後に事実が明るみに出たことで「本物の支援とは何か」を世に問いかける契機となりました。
一過性のパフォーマンスで終わらせない仕組みづくりも定着しました。チャリティグッズの恒常的販売、震災追悼フェスの定期開催、地方創生と連動した拠点づくりなど、現在では当たり前となった「持続可能な支援モデル」は、3.11を契機に日本のエンターテインメント産業に実装された新しい規範です。