有もとの起源は江戸時代初期にまで遡ります。神社へ参詣する旅人を迎え入れる宿坊的役割から出発し、時代の変遷を経てもなお社殿の真裏という特等席を守り続けてきました。この場所は単なる宿ではありません。神域の結界のすぐ内側に泊まる、特別な鑑賞席です。
日中の宮島は世界中からの観光客で溢れかえります。しかし、夕刻を過ぎて本土へ戻るフェリーの出航とともに、島は劇的な静けさを取り戻します。創業約400年の歴史を持つ宿が提供するのは、この「引き潮のように観光客が去った後の宮島」を独占する特権です。神社の回廊を渡る風の音、遠く響く潮の満ち引きの音。この空気感は、日帰り観光では絶対に手に入りません。