利根川水系における水不足リスクの進行度合いを正しく把握するためには、各季節の運用段階と発動基準を体系的に理解する必要があります。以下のデータは、通常運用時から緊急事態に至るまでの典型的な指標と、過去の渇水年における推移の比較です。
| 時期・運用フェーズ | 矢木沢ダム想定貯水率 | 利根川水系全体への影響・対策 |
|---|---|---|
| 4月下旬(融雪期) | 75%, 90% | 雪解け水流入のピーク。水力発電増電の試行と余剰水の貯留管理。 |
| 6月上旬(梅雨入り直前) | 85%, 100%(健全時) | 農業用水供給が本格化。貯水率50%未満の場合、渇水連絡協議会が設置。 |
| 7月中旬(盛夏期初期) | 60%, 75%(平年値) | 貯水率30%台で10%の取水制限発動。農業用水・河川維持流量の削減。 |
| 8月下旬(渇水警戒期) | 40%, 60%(許容範囲) | 貯水率15%以下で取水制限20%, 30%へ拡大。首都圏給水制限が現実味を帯びる。 |
上表が示す通り、6月上旬の段階で矢木沢ダムの貯水率が50%を割り込んでいる場合、その年の夏は極めて高い確率で渇水対策が講じられます。梅雨前線の活動が不活発な「空梅雨」が重なれば、7月前半には取水制限が現実のものとなります。