本作の緊迫感を支えたのは、主人公二人を取り巻く共演陣の卓越した演技です。日向の共同創業者であり副社長の朝比奈恒介を演じた井浦新(当時はARATAから改名直後)の芝居は、まさに圧巻でした。日向の圧倒的な才能に魅せられながらも、次第に埋められない劣等感に蝕まれ、やがて親友を企業から追放する謀略に手を染めていく姿は、シェイクスピア劇のような悲壮感を帯びています。
また、その妹である新進気鋭のシェフ・朝比奈耀子を演じた相武紗季は、従来の恋愛ライバル役にありがちな嫌味さを排し、プロフェッショナルとして自立した成熟した女性像を提示しました。経営、クリエイティビティ、家族愛、そして嫉妬。主要4人の利害と感情が密接に絡み合うことで、物語の解像度は飛躍的に高まりました。