竹串がスッと抵抗なく通る硬さまで煮進んだら、落としぶたを外し、最終段階へと移行します。ここからの工程こそが「煮っころがし」の語源となった真骨頂です。鍋底に残った煮汁を確認し、火加減を中強火に引き上げて余分な水分を一気に蒸発させていきます。
煮汁が泡立って大きな気泡に変わり、シロップ状の粘度を帯びてきたら、鍋肌から焦げ付かないよう鍋をリズミカルに煽り、煮汁を芋全体へ絡め取らせます。みりんに含まれる糖類とアミノ酸がメイラード反応を起こし、飴色の輝かしい被膜を形成します。鍋底に水分がほぼ残らず、芋の表面に濃密なタレが均一にコーティングされた瞬間に火を止める判断が、乾いたボソボソ感を出さないための境界線です。