代用を完璧にこなすための第一歩は、中濃ソースが持つ物理的・味覚的ポジションを理解することです。農林水産省の日本農林規格(JAS)において、ソース類は粘度(サラサラ度合い)とエキス分によって明確に分類されています。最も粘度が低くスパイシーなのが「ウスターソース(粘度0.2Pa・s未満)」、繊維質が多くとろみが強いのが「とんかつソース(または濃厚ソース、粘度2.0Pa・s以上)」、そしてその中間に位置するのが「中濃ソース(粘度0.2Pa・s以上2.0Pa・s未満)」です。
地域的な消費傾向にも顕著な特徴が存在します。東日本エリアでは、1本で揚げ物への直がけから炒め物、隠し味まで万能にこなす中濃ソースの世帯普及率が極めて高く、棚のレギュラーとして君臨しています。一方で、西日本エリアでは用途に応じてウスターソースとお好み焼き・とんかつ用ソースを厳密に使い分ける食文化が根付いており、スーパーの棚構成すら大きく異なります。
中濃ソースの味わいを構成する3大要素は、リンゴやトマトなどの果実・野菜由来の「とろみと甘み」、醸造酢による「まろやかな酸味」、そして数十種類の「複合スパイス」です。つまり、代用調合を行う際は、手元にある調味料から「甘み」「酸味」「粘度」「スパイス感」をパズルのように組み立て直す作業に他なりません。