昭和から平成初期のプロ野球において、「やられたらやり返す」という報復死球は暗黙の了解(アンリトゥン・ルール)として一定程度存在していました。主力打者が当てられれば、次のイニングで相手のエースが相手の四番打者の腰骨付近を狙い撃ちにする光景は珍しくありませんでした。
しかし、球速の劇的な向上(現代ではリリーフ投手の平均球速が150km/h超に達する)や、選手の年俸高騰、コンプライアンス意識の浸透により、報復死球は「単なる暴力行為」「犯罪的危険行為」として球界全体で徹底的に排除されるようになりました。2026年現在のプロ野球では、報復行為に対して以下のような多層的ペナルティが科されます。
- 即座の退場処分と出場停止: 警告試合下での危険球および乱闘の先頭に立った選手・指導者には、複数試合の出場停止処分が即座に下されます。
- 制裁金とチームへの過料: 日本野球機構(NPB)コミッショナーより、個人への高額な罰金(数十万円〜数百万円規模)および球団への厳重戒告が科されます。
- 社会的信認の失墜: 意図的な危険投球はSNSを中心に激しい批判を浴び、スポンサー離れや球団ブランドの棄損に直結します。
投手の側にとっても、内角への厳しい攻めは打者を抑えるための絶対条件です。しかし、「制球できない内角攻めは凶器になり得る」という冷厳な事実を、警告試合の宣告は突きつけています。