騒動の最大の勝者となったのは、作品そのものと、機を見るに敏だった電子書籍ストアでした。徳弘正也といえば『新ジャングルの王者ターちゃん♡』などのギャグ作品で知られますが、『狂四郎2030』は徹底した社会風刺、人間の尊厳、そして狂気の中の純愛を描き切った青年漫画の最高峰です。
カレー騒動によって喚起された巨大な関心を逃さず、Amazon Kindleを中心とする電子書籍ストアは電撃的な割引キャンペーンを展開しました。電子書籍割引として1〜4巻を各100円という破格で開放し、さらに全20巻に対して50%のポイント還元を付与。全巻一気買いのハードルを極限まで引き下げたのです。
「カレーのコマしか知らなかったが、通読したら涙が止まらなかった」「単なるグロテスクな描写ではなく、極限状態の人権問題を描いた大傑作」という新規読者の絶賛レビューが次々と投稿され、完結から20年以上を経た作品がストアランキングを席巻。偶発的な事故から始まった騒動は、結果として埋もれかけていた文化的名作への正当な再評価という、極めて前向きな結末をもたらしました。