高級グレード車や近年のコンパクトカー・SUVで標準化が進む本革ステアリングは、ウレタン製に比べて遥かに繊細です。固着したハンドルカバーを力任せに引っ張った際、天然皮革の銀面(表面層)がカバー裏面のゴムに貼り付いたまま引き剥がされ、革の毛羽立ちや破れが発生するトラブルが後を絶ちません。一度傷んだ本革の補修費用は、専門業者に依頼した場合25,000円〜45,000円程度に跳ね上がります。
また、滑りを良くしようとしてシリコンスプレーや潤滑油(CRC-556など)を隙間に吹き込む行為は破滅的な結果をもたらします。石油系溶剤やオイル成分は革の繊維に染み込んで恒久的なシミや異臭の原因となり、ウレタン内部の接着層を溶解させてステアリング本体をブヨブヨに変質させてしまいます。滑剤に頼るのではなく、前述した「熱」による素材自体の伸長と「樹脂・紐」による面圧力の分散を徹底してください。