スフィアと並ぶ美術館の中核が、全面に鏡が張り巡らされた「彫刻鏡の部屋」です。ガラス表面に繊細なブラスト加工や彫刻が施されており、仕込まれた光ファイバーやLEDのイルミネーションが点滅するたびに、合わせ鏡の反射によって奥へ奥へと果てしない光のトンネルが伸びていきます。まるで異次元の回廊に迷い込んだかのような浮遊感を味わえる空間です。
近年はSNSの普及に伴い絶好の写真撮影スポットとして若い旅行者やカップルが列を成しますが、この繊細な光学空間を楽しむためには一定の鑑賞作法が求められます。床面や壁面の鏡を傷つけないよう配慮が必要であり、混雑時における長時間の独占撮影は厳に慎まなければなりません。限られた照明のサイクルに合わせてシャッターを切るタイミングを見極める観察眼を持つことで、ありきたりな自撮りとは一線を画す陰影に富んだ1枚を記録できます。