2014年1月期にフジテレビ月9枠で放送された『失恋ショコラティエ』は、水城せとなの人気コミックを実写化した意欲作でした。石原さとみが演じた高橋紗絵子(通称サエコさん)は、主人公のショコラティエ・小野田爽太(松本潤)を高校時代から翻弄し続ける絶対的なミューズであり、同時に容赦ない現実を突きつける既婚女性です。
本作が当時のドラマシーンで異彩を放った理由は、爽太の頭の中で繰り広げられる過激な妄想シーンと、ショコラ専門店「ショコラ・ヴィ」を舞台にしたリアルでシビアな人間関係の落差にありました。小野田爽太というキャラクターは、サエコさんを振り向かせたい一心でフランス修業を重ね一流の腕を身につけた努力家でありながら、彼女の前ではどこまでも情けなく、切なく、そして盲目的です。
松本潤が体現した「美しくも痛々しい執着」と、石原さとみが繰り出した「無自覚を装った計算高さ」の衝突は、従来の月9ラブストーリーが描いてきた王道の清純派路線を鮮やかに刷新しました。二人が醸し出す大人の色気と退廃的な甘さは、放送から年月が流れた現在でも、歴代共演者の中で群を抜くビジュアルインパクトとして記憶されています。