今回の一連の騒動の根底には、日本野球界が長年抱え続けてきた「ナショナルチームの存在意義」をめぐる思想的対立があります。それは「全12球団から均等に選ぶべきというファンサービス的視点」と、「勝利至上主義で最強の布陣を揃えるべきという競技的視点」の衝突です。
NPBは12球団のファンコミュニティによって強固に支えられています。シーズン前の貴重な時期に選手を供出する球団側、そして自軍のエースや主砲を誇らしく送り出したいファンの立場からすれば、「選出ゼロ」という扱いは自チームの実力や存在感を否定されたかのような疎外感を生みます。この感情的な反発こそが「選出ゼロ球団ファンの悲鳴」の正体です。
しかし、世界一を奪還するという至上命題を背負う首脳陣にとって、政治的な配慮で「全12球団枠」を維持することは戦術的な妥協に他なりません。アメリカや中南米の強豪国がMLBの精鋭を揃えてくる国際舞台において、枠合わせの選手選考は命取りになります。井端監督をはじめとする首脳陣は、ファンの反発を織り込み済みで「勝つためのロースター」を冷徹に追求した結果、感情論としての「おかしい」という批判を受け止めることになったのです。