野球界における「足」の評価は、長らくスカウトの手元ストップウォッチによる感覚的な数値に依存していました。しかし、近年のトラッキングシステム(トラックマンやホークアイ)の普及、そして代表選考合宿での光電管導入により、スピードの概念は根底から覆されています。単に「50m走が何秒か」ではなく、最初の10ヤード(約9.14m)の加速度や、ベース間スプリントにおける最高速度の到達地点が可視化されるようになりました。
今回、大学日本代表候補の鈴木湧陽選手や岡田啓吾選手が叩き出した数値が称賛されるのは、それが曖昧な手動計測ではなく、厳格な条件下で実証されたスピードだからです。ベースボールのスパイクを履き、土のグラウンドで5秒7〜5秒8を光電管でマークできる脚力は、陸上用のオールウェザートラックに換算すれば公認スプリンターのトップ層に匹敵します。侍ジャパンの国際舞台においても、この電光石火の走力は単なる代走要員を超えた大きな戦術兵器となります。