初音ミクにネギを持たせるアイデアを具現化したのは、ボカロPとして草創期から活動していたOtomania氏と、イラストレーターのたまご氏です。ソフトウェア発売からわずか4日後の2007年9月4日、ニコニコ動画に『VOCALOID2 初音ミクに「Ievan Polkka」を歌わせてみた』というタイトルの動画が投稿されました。
当時、Otomania氏は初音ミクの歌声の滑らかさをテストするため、フィンランド民謡「Ievan Polkka(イエヴァン・ポルッカ)」を選曲。スカット歌唱と呼ばれるリズミカルな早口言葉を歌わせるにあたり、ビジュアルの制作を友人のたまご氏に依頼しました。たまご氏から上がってきたのは、頭身を極端に低くし、瞳孔の開いたコミカルなデフォルメキャラクター、後の「はちゅねミク」でした。
Otomania氏はこのシュールなイラストを見た瞬間、ネット上で流行していた海外のフラッシュアニメーションを連想します。2006年頃、アニメ『BLEACH』第2話でヒロインの井上織姫が長ネギをぶんぶん振り回す約2秒のカットに、フィンランドの音楽グループ「ロイツマ(Loituma)」が歌うIevan Polkkaを合わせた「ロイツマ・ガール(Loituma Girl)」というミームが世界的な大流行を見せていました。
「この曲を歌わせるなら、手にネギを持たせて振らせるしかない」。Otomania氏の直感的な着想を受け、たまご氏がネギを振るアニメーションスライドを書き下ろしました。緻密なマーケティング計算など何一つない、インターネット特有のパロディ精神から生まれた動画でした。