本煮込みの加圧と自然減圧が完了した段階で蓋を開けると、肉はすでに箸で崩れるほどの柔らかさに達している。しかし、この時点では煮汁がサラサラとしており、肉の表面への照りや絡みが足りない。ここから仕上げの「開放煮込み(煮詰め)」へと移る。
蓋を外した状態で中火にかけ、煮汁をスプーンで肉の表面に回しかけながら、水分を1/3程度まで蒸発させていく。この工程で煮汁の糖分が凝縮し、料理屋で見るような美しい照りと艶が生まれる。肉をあまり激しく動かすと身割れを起こすため、鍋を揺する程度に留めるのがコツだ。
満足度をさらに引き上げる存在が半熟煮玉子だ。絶対に避けるべきなのは、卵を肉と一緒に最初から加圧調理することである。高圧下で加熱された卵黄は水分を失って灰色に変色し、白身は輪ゴムのように硬化してしまう。沸騰した湯で6分半茹でて冷水で冷やした半熟卵は、火を止めた後の煮汁へ投入し、粗熱を取りながら余熱と浸透圧だけで味を染み込ませる。30分から1時間ほど浸すだけで、外側は美しい琥珀色に染まり、割ると黄身がとろりとあふれ出す完璧な状態に仕上がる。