正礼装の装いを語る上で欠かせないのが、頭上を飾るティアラの選定です。オランダ国王夫妻を迎えた晩餐会などで雅子さまが着用され、世界のロイヤルファンの注目を集めたのが「皇后の第三ティアラ」でした。
皇室には歴代皇后に受け継がれる複数のティアラが存在します。筆頭格である「第一ティアラ(明治のティアラ)」は、星のような大粒ダイヤモンドが頂点に輝く最高格式の宝飾品であり、主に即位関連儀礼や元始祭、最重要国賓の歓迎行事で用いられます。一方、「第二ティアラ」は昭和天皇の后である香淳皇后、そして上皇后美智子さまへと引き継がれてきた伝統的な唐草文様を持ちます。
そして雅子さまが選定された「第三ティアラ」は、幾何学的でモダンなアールデコ調の直線美と繊細な曲線が融合した意匠が特徴です。なぜこの場に第三ティアラが選ばれたのか。専門家の間では、訪日した相手国元首との格式のバランス、ドレスのデザイン性との調和、そして「受け継がれてきた皇室のヘリテージを現代の公務に自然体で生かす」という雅子さまの美意識が合致した結果であると分析されています。過度に重厚すぎず、かつ最高峰の気品を失わないその輝きは、新時代の皇室ファッションを象徴するアイコンとなっています。