「パフェ1杯に2,000円以上を払う価値があるのか」という問いに対する答えは、提供時に手渡される1枚のイラスト付きメニューカードに凝縮されています。そこには、グラスの最上部から底に至るまで、12, 16層にも細分化されたパーツの構成が緻密に図解されています。
大手ファミリーレストランや一般的な喫茶店のパフェでは、コスト抑制とオペレーション簡素化のためにコーンフレーク、市販のホイップクリーム、バニラアイスが体積の半分以上を占めるケースが珍しくありません。しかし、ななかま堂のグラス内にそうした安易な増量剤は一切存在しません。構成要素のほぼすべてが店舗またはセントラルキッチンで独自に仕込まれたコンポーネントです。
- 温度差と食感のレイヤード: 口溶けの異なる2〜3種類の自家製ジェラートやソルベを配置し、咀嚼するたびに異なるテクスチャー(メレンゲ、シュトロイゼル、パート・ド・フリュイなど)が弾ける設計。
- 甘味の抑制と苦味・渋味の活用: 抹茶、焙じ茶、カカオニブ、さらには山椒や生姜といった和スパイスを用い、後半にかけて飽きさせない味のグラデーションを構築。
- 酒類やエキスの隠し味: 白ワインジュレ、ブランデー風味のムース、日本酒を効かせたガナッシュなど、大人の味覚を刺激するアルコール成分の巧みな配置。
パティシエが1杯を組み立てるのに要する時間は数分に及びます。この工程は大量生産型のファストスイーツとは対極に位置する、いわば「グラスの中に再構築された皿盛りデザート(アシェットデセール)」です。高級レストランのコース最後に出てくるデセールが2,000円前後に設定されている事実を鑑みれば、ななかま堂の価格設定は暴利どころか、極めて原価率の高いクラフトプロダクトであることが理解できます。