強打を打とうとして肩や腕に力が入った瞬間、スマッシュの初速は著しく低下します。人間の筋肉は緊張すると収縮スピードが落ち、関節の可動域が制限されてしまうためです。高速スマッシュの生みの親となるのは、末端の力ではなく体幹から末端へとエネルギーが流れるキネティックチェーン(運動連鎖)です。
下半身の踏み込みで生じた床反力は、骨盤の回転、胸郭の回旋、肩甲骨の引き上げを経て腕へと伝達されます。インパクトの約0.001秒という極めて短い接触時間において、すべてのエネルギーがシャトル一点へ集約されなければなりません。肩甲下筋や前腕の筋群が脱力できていなければ、運動連鎖の波は途中でせき止められます。強引に叩くのではなく、手首と前腕を鞭のようにしならせることこそが、空気抵抗の大きいシャトルに対して初速の爆発力をもたらす根源です。