北海道・十勝平野で昭和初期に開拓農民のスタミナ源として誕生した帯広豚丼。一方、福岡県北九州市の小倉駅ホームなどで鉄道利用者の胃袋を1世紀近く支え続けてきた北九州名物かしわうどん。約2,000キロメートルの距離を隔てたこの2大ソウルフードが邂逅を果たしたのは、決して偶然ではありませんでした。
仕掛けとなったのは、北九州市内に登場した本格コラボレーション店舗です。プレスリリースでも大きな話題を呼んだこの店舗では、十勝産豚肉を厚切りにし、香ばしく炙り上げた帯広スタイルの豚丼と、細かく刻んで甘辛く煮込んだ鶏肉(かしわ)を載せた伝統のかしわうどんをセットで提供。一見すると炭水化物と肉の重厚な重複に見えますが、ひとくち食べ進めるごとに計算された味覚の補完関係に気づかされます。
十勝の豚丼が持つ脂の甘みと濃厚な焦がしダレの力強さを、かしわうどんの透明感ある昆布・鰹・鶏ガラスープが優しく受け止め、後味を驚くほど軽やかに整えます。「北の開拓民のエネルギー」と「九州の炭鉱・鉄道文化を支えた出汁文化」が合流したこのスタイルは、単なる珍しさではなく、日本の労働者階級が育て上げた力強い食文化の必然的な共鳴といえます。