本展を支える屋台骨は、海洋堂が数十年にわたり培ってきた生物フィギュアのアーカイブと、第一線で活躍するトップ造形師たちの技術力です。とりわけ動物・生物造形の第一人者として世界的に知られる松村しのぶ氏が手がけた原型は、生物学的な正確さと美術品としての美しさを奇跡的なバランスで両立させています。
魚類の鱗一枚一枚の並び、エラ蓋の薄さ、体表を取り巻く粘膜の質感に至るまで、ルーペで覗き込まなければ見逃してしまうようなミクロ単位のディテールが隙間なく施されています。淡水魚コーナーでは、琵琶湖の固有種であるビワコオオナマズやニゴロブナのリアルな姿が湖底の泥や沈木とともに再現され、滋賀県という土地柄ならではの文脈を色濃く反映しています。
さらに深海コーナーでは、ダイオウイカとマッコウクジラの死闘や、リュウグウノツカイの神秘的な銀白色の輝きがドラマチックなライティングで演出されています。単に「魚の模型を並べた」だけではない、生態系のドラマを丸ごと立体化した情景模型は、生物愛好家やプロのクリエイターをも唸らせる完成度を誇ります。