芝居の再現度以上に音楽関係者を驚かせたのが、マイクを握った際の実力です。伊弉冉一二三のラップは、シャンパンコールをルーツに持つ弾むようなフロウと、韻を踏みながらめまぐるしく展開する高密度の言葉遊びが特徴です。ライブハウス規模とは異なるアリーナの反響音のなかで、安藤夢叶は母音の抜けを正確にコントロールし、滑舌を一切濁らせずにリリックを客席の最後列まで届けました。
D.D.B(ディビジョン・ダンス・バトル)のダンサー陣が繰り広げる高度なブレイクダンスの渦中へ自ら飛び込み、激しいフォーメーション移動をこなしながらも、歌声のピッチと息遣いは乱れません。激しいステップを踏みつつ、カメラや客席へ向けて指先でウインクを放つ余裕。それは努力によって培われた基礎体力と、GIGOLOというキャラクターに対する徹底的な没入がなければ成立しない職人技です。