硬い外殻(鬼皮)をいかに渋皮を残して剥くかが、全工程の成否の8割を左右します。乾燥した生の栗にいきなり包丁を入れるのは危険であるだけでなく、渋皮を削り取るリスクが極めて高くなります。現在、プロおよび愛好家の間で標準化されている下処理法は「熱湯浸漬法」と「冷凍法」の2系統です。
熱湯浸漬法は、沸騰させた湯の火を止め、70, 80℃程度に落ち着かせた湯の中に生栗を30, 40分間浸す手法です。蒸気と熱によって鬼皮の木質部が水分を吸収し、革製品のように柔軟になります。剥く際は底部の座(ざ)と呼ばれるザラザラした部分に包丁の刃元を引っ掛け、頭部に向かって繊維に沿って引き上げるように剥がします。果肉側の渋皮に刃先を深く入れないことが絶対条件です。
もう一つのアプローチが冷凍法です。栗を一晩以上完全に凍らせた後、熱湯に5, 10分間浸けてから剥きます。氷結晶の体積変化によって鬼皮と渋皮の界面にわずかな隙間が生まれ、手やペティナイフで驚くほど容易に外殻を外すことが可能です。ただし、解凍が進むと果肉組織が軟化しやすいため、素早い手作業が求められます。