三嶋製麺所の名が日本全国へ知れ渡る決定打となったのは、2006年に公開された本広克行監督の映画『UDON』でした。作中において、主人公たちが山奥を駆け巡りながら見つけ出す「看板のない幻の製麺所」の象徴的なモデル・ロケ地として描かれたことで、讃岐うどん愛好家の間での認知度は一気に跳ね上がりました。
映画が描き出したのは、単なるご当地グルメの紹介ではなく、製麺所の片隅で丼を受け取り、庭先や縁側に腰掛けて麺をすする讃岐特有の文化でした。三嶋製麺所の土間、年季の入った木の床板、使い込まれた茹で釜は、スクリーンを通じて観客に強烈なノスタルジーと冒険心を植え付けたのです。
公開から長い年月が経った2026年現在でも、ロケ地巡回を目的としたカルチャーツーリズムの熱気は冷めていません。映画が切り取った風景が色褪せることなく、現地に行けばほぼ当時の空気感そのままに残されている点こそ、ファンを惹きつけてやまない理由です。