化学合成成分への警戒感から、「無添加歯磨き粉」や「天然由来100%」を謳うナチュラル製品へ切り替える消費者が急増しています。しかし、オーガニック製品が無条件に口腔衛生の最適解であるとは限りません。無添加を標榜する製品の多くは、虫歯予防の要であるフッ化物を完全に排除しています。
フッ素濃度(1450ppm)が担保された処方は、厚生労働省および世界保健機関(WHO)が強く推奨するう蝕予防のグローバルスタンダードです。完全無添加のペーストのみを長期間使用し続けた結果、再石灰化が追いつかず、重篤な虫歯を多発させてしまう成人の症例が歯科外来で後を絶ちません。「添加物を一切摂りたくない」という感情的な理由だけでフッ素まで排除することは、歯周病予防や虫歯リスクの観点から明白なトレードオフを伴います。