ムタの魅力は、その無骨な言葉の端々に宿る人生訓のような温かさにあります。自分を見失いそうになるハルに対し、彼は決して甘やかすような言葉はかけません。突き放すような物言いの裏には、他者に依存せず自分の足で立つことを促す厳父のような哲学が込められています。
迷路の中で焦るハルに向けた一言や、猫の国の誘惑に流されそうになる彼女を引き戻す怒声には、飾らない本音が詰まっています。「自分の時間を生きる」という作品全体の根底テーマを、最も素朴かつ力強い言葉で代弁しているのは、紳士的なバロン以上に泥臭いムタなのかもしれません。
ピンチの場面で「おいハル、しっかりつかまってろ!」と叫びながら我が身を盾にする姿は、言葉以上に雄弁です。説教くささを微塵も感じさせず、行動で示す男気があるからこそ、彼の荒っぽいセリフは時代を超えて視聴者の心に刺さり続けます。