押し入れの隙間に無理やり押し込んだり、掃除機で限界まで吸引するプラスチック製の圧縮袋を多用したりすると、羽毛布団の心臓部であるダウンボールは取り返しのつかないダメージを受けます。羽毛は無数の細かな羽枝が空気をたっぷり含むことで抜群の断熱層を作っています。これを強力な力で圧迫し続けると中心の羽軸が折れ、羽毛つぶれと呼ばれる不可逆的な弾力低下を招きます。
さらに見落とされがちなのが、密閉された環境下での湿気トラブルです。人間は一晩でコップ1杯分以上の汗をかきます。冬の間じっくり汗を吸い込んだ羽毛布団をケアせずに閉じ込めると、湿気と皮脂が酸化して独特の獣臭やアンモニア臭が発生し、最悪の場合は黒カビが繁殖して生地を侵食します。正しいしまい方とは、単に場所を確保する作業ではなく、ダウンの立体構造を壊さず清潔な乾燥状態をキープする保全プロセスそのものです。