「お客さまから『大葉としそは別の野菜ですか?』と聞かれる頻度は、香味野菜のなかでも断トツに多いです」。都内中堅スーパーの青果担当バイヤーはそう明かします。答えを簡潔に言えば、植物としては完全に同一の存在です。分類学上、私たちが普段口にする緑色の葉はシソ科シソ属の「青じそ」に該当します。
では、なぜ売り場では「大葉」と呼ばれるのでしょうか。その境界線は、植物としての包括名か、青果市場で売買される葉のレーベルかという点にあります。しそ(紫蘇)という言葉は、青じそ、赤じそ、芽じそ、穂じそ、シソの実までを含む総称です。一方の大葉は、食用として束ねられた青じその「生葉そのもの」を指す限定的な呼称として使われています。
大手青果卸売市場の規格基準でも、箱詰めのラベルには「大葉」と記載されるのが通例です。関西や東日本を問わず、流通コードやPOSデータの登録名としても「オオバ」が広く普及しており、店頭表記が「大葉」に統一される背景には、物流管理の効率化という極めて実務的な理由が存在しています。