ojo closeの1st EP『Lullaby』が耳目を集めた最大の理由は、ウィスパーボイスの配置と音響処理における緻密な引き算にあります。一般的なポップスが耳を引きつけるために中高音域をブーストさせるのに対し、本作では耳孔を刺激するアタック音を極限まで抑制。ボーカルテクスチャには呼吸音に極めて近い周波数成分を残し、聴き手の副交感神経を優位へ導くチューニングが徹底されています。
生演奏のアコースティックギター、フェルトピアノ、そして余韻を長く取ったリバーブが折り重なり、聴き手を包み込むような音場を形成します。激しい抑揚をあえて避け、一定の緩やかなテンポ(BPM 60, 68)を保ち続ける構成は、成人の心拍数と同調して呼吸を自然と深くさせる生理学的な意図に基づいています。単なる「穏やかな歌」を超え、リスナーのバイタルサインに直接語りかける設計がなされているのです。