1輪の花が描けるようになったら、次は「満開の桜の木」の全体構図に挑戦してみましょう。木全体を描く際にありがちなミスは、幹を真っ直ぐ描きすぎて電柱のようになってしまったり、花を1つずつ細かく描きすぎて画面が散漫になったりすることです。
プロのイラストレーターが実践する構図テクニックは、花のかたまりを「モコモコとした雲」として捉えることから始まります。まず、全体のシルエットを楕円形や複数の重なる雲の形で大まかにスケッチします。このボリューム感を先に固定することで、余白と主役の比率が崩れません。
次に決定的な役割を果たすのが枝のバランスです。桜の枝は、幹から垂直に生えるのではなく、上空に向かって「Y字」を描きながら斜め外側へと伸びていきます。雲状の花のかたまりの間から、ところどころ顔を覗かせるように細い枝を描き足すのがコツです。枝の先端をあえて花のシルエットの内側で途切れさせることで、奥にも手前にも花が密集している満開の質感を錯覚させることができます。
最後に、輪郭線の上に数輪だけ、はっきりと花びらの形を描き込みます。すべての花を精緻に描く必要はありません。「全体の9割は淡いシルエット、視線が集まる1割だけ精密に描く」というメリハリこそが、少ない手数で圧倒的な満開感を演出する秘訣です。