技術的な害毒が存在しなかったとしても、被害者の心に残された打撃は極めて深刻でした。インターネットコミュニティでは、こうした悪質コンテンツを「精神的ブラクラ」と呼び、システムクラッシャーと明確に区別しつつも同等以上の危険物として警戒しました。
当時、掲示板上では「この画像の右上に隠しメッセージがある」「間違い探しをクリアすると裏ステージに行ける」といった狡猾なソーシャルエンジニアリングが用いられました。無防備な子どもやネット初心者がターゲットとなり、深夜にヘッドホンを装着した状態で爆音と絶叫を浴びせられた結果、暗闇やPC画面そのものに恐怖を覚える深刻な心的ストレスを訴える事例が後を絶ちませんでした。
やがてこれらのコンテンツは、有志のWikiやまとめサイトによって「検索してはいけない言葉」というカテゴリに体系化されました。危険度や恐怖のジャンル(グロテスク、電波系、ビックリ系など)がレーティングされ、閲覧前の警告やネタバレが共有される自衛文化がネット民の間で形成されていったのです。